デザート
「あ、痛……舌噛んだ」
「見せてみ」
「え…」
「ほら、口開けて舌出せ」
「へ…あ」
間にあるテーブルを飛び越えて、向かい合った顔がどんどん近付いてくる。
見たってどうにもできないのに。
見せたって痛みは変わらないのに。
言われた通り、素直に口を開けた。
普段人目につかない場所を覗きこまれてると思うと恥ずかしくて目は閉じた。
「あー、ちょろっとだけ血滲んでる」
「ふぇ…」
そんなに思いっきり噛んだ覚えはなかったけれど。
「消毒」
血の味なんてまったく分からない。
ただ、今食べてたプリンの味がさらに広がった。
2012-06-26
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