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オレを部屋に呼んでおきながら、啓介さんはゲームに夢中。
真剣な顔をベッドの中から眺めてみるけど、集中しているときは気づかれない。
だから今なら見放題…のはずなんだけど。

「な、さっきからすげー見てるけど、何?」

あの啓介さんが、照れた仕草で髪の毛をいじってる。
オレの手は、いつの間にか啓介さんのシャツの裾を握ってて、
それに気づいて慌てて起き上った。

「や、あの…すげーキスしたいなって」

言ってからハッとして手を引こうとしたけど、やっぱり間に合わなかった。
啓介さんの手が腰に回って、ぐっと距離を詰められた。
鼓動が激しくなって顔もすごく熱い。
頬に、唇に、触れ合わせるだけのキス。照れくさくて、胸が苦しい。

「すごくキスしたい気分なのか、すごいキスをしたいのか、どっち?」
「え、え?」
「すのスゲーはどっちに係ってる?」

なぞかけみたいな言葉に、オレの頭ははてなマークでいっぱいいっぱい。
意味わかんねーって顔してたら、啓介さんはふっと笑ってまた触れるだけのキスをした。
くすぐったくてあったかくて、気持ちいい。

「フレンチキスとバードキス、どっちがいい?」
「わ、わかんねーっスよ」
「試しにどっちか言ってみ?」
「…フレンチ」

ってたしかちゅって軽くするやつのことだろ?
なんで舌が入ってくんだよぉ。あ、あ、吸うなってば…っ。

「フレンチキスってディープキスのことだぜ」
「ぁ、…ぁっ」

そんなの知らねえよっていうオレの言葉を、啓介さんの舌が絡め取ってしまう。
力が抜けて後ろに倒れこんだら、啓介さんが覆いかぶさってきた。
鼻先を合わせて、つついたりなぞったり、なんかこれすげー恥ずかしい。
ぎゅっと唇を閉じて構えていたら、唇をペロッて舐められた。
焦って声を上げたらすかさず舌を差し込まれ、歯茎の裏まで撫でてくる。
開いた口が密着したまま、啓介さんの舌が行ったり来たりを繰り返す。
気持ち良すぎて、このままじゃ変な気分になっちまう。

「けーすけさ、ん」
「ん、すげーキスしような」
「…ど、どっちの意味…っ」
「両方に決まってるだろ」

爽やかな笑顔を振りまいて、だけどその目は爽やかさとはかけ離れた欲を放ってる。
オレはもうどうしたって負けだなって思って、大人しく身を任せることにした。

2014-05-23

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