xxx
オレを部屋に呼んでおきながら、啓介さんはゲームに夢中。
真剣な顔をベッドの中から眺めてみるけど、集中しているときは気づかれない。
だから今なら見放題…のはずなんだけど。
「な、さっきからすげー見てるけど、何?」
あの啓介さんが、照れた仕草で髪の毛をいじってる。
オレの手は、いつの間にか啓介さんのシャツの裾を握ってて、
それに気づいて慌てて起き上った。
「や、あの…すげーキスしたいなって」
言ってからハッとして手を引こうとしたけど、やっぱり間に合わなかった。
啓介さんの手が腰に回って、ぐっと距離を詰められた。
鼓動が激しくなって顔もすごく熱い。
頬に、唇に、触れ合わせるだけのキス。照れくさくて、胸が苦しい。
「すごくキスしたい気分なのか、すごいキスをしたいのか、どっち?」
「え、え?」
「すのスゲーはどっちに係ってる?」
なぞかけみたいな言葉に、オレの頭ははてなマークでいっぱいいっぱい。
意味わかんねーって顔してたら、啓介さんはふっと笑ってまた触れるだけのキスをした。
くすぐったくてあったかくて、気持ちいい。
「フレンチキスとバードキス、どっちがいい?」
「わ、わかんねーっスよ」
「試しにどっちか言ってみ?」
「…フレンチ」
ってたしかちゅって軽くするやつのことだろ?
なんで舌が入ってくんだよぉ。あ、あ、吸うなってば…っ。
「フレンチキスってディープキスのことだぜ」
「ぁ、…ぁっ」
そんなの知らねえよっていうオレの言葉を、啓介さんの舌が絡め取ってしまう。
力が抜けて後ろに倒れこんだら、啓介さんが覆いかぶさってきた。
鼻先を合わせて、つついたりなぞったり、なんかこれすげー恥ずかしい。
ぎゅっと唇を閉じて構えていたら、唇をペロッて舐められた。
焦って声を上げたらすかさず舌を差し込まれ、歯茎の裏まで撫でてくる。
開いた口が密着したまま、啓介さんの舌が行ったり来たりを繰り返す。
気持ち良すぎて、このままじゃ変な気分になっちまう。
「けーすけさ、ん」
「ん、すげーキスしような」
「…ど、どっちの意味…っ」
「両方に決まってるだろ」
爽やかな笑顔を振りまいて、だけどその目は爽やかさとはかけ離れた欲を放ってる。
オレはもうどうしたって負けだなって思って、大人しく身を任せることにした。
2014-05-23
back