魔法の手

「藤原、すっげーがちがち。力抜いてていいぜ」
「ででで、でも」

簡単に言うなよ。
こっちはあんたに触られてるってだけでもそれどころじゃないってのに。

「ほら、気持ちよくしてやるから。な?」
「そんなこと言われたって、オレだって好きでこうなわけじゃ…っ」
「オレってそんな信用できねえ?」
「そういうわけじゃなくて」
「けっこう上手いって褒められんだけど」

耳元で囁かれたら、余計に力入っちまう。
もしかしてわざとなのか?

「啓介さんの手、すげー熱ぃ…」
「それが気持ちいーだろ? 声出してもいいぜ」

そんなこと言われてアンアン言えないだろ。
そう思っているのに、オレの体は素直に啓介さんのテクを受け入れるんだ。

「はぁ~…すげ、イイ、んっ」
「おまえ、若いくせにけっこう凝ってんな」

大きな手に全身をもみほぐされて、その気持ちよさにオレはすっかり骨抜きだ。
啓介さんは魔法使いなのかも、なんてらしくないこと考えちゃうよ。
啓介さんのベッドにぐったり横たわり、はぁはぁ言ってる。
荒い息のまま見上げたら啓介さんがのしかかってきた。

「んじゃ、もう少し別の気持ちよさ、味わってみる?」
「え、あっ、ンン」

そうじゃないかなとは思ってたけど、こんなときのオレの予想はだいたい当たる。
今度は啓介さんの体全部で、快楽の波に押し流されていった。

2014-11-15

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