夜夜中

会いたい。
触れたい。
最近そんなことばかり思う。
真夜中に急に会いたくなって目が覚めることも多くなった。
電話もメールも以前と変わらず毎日のようにくれるし
うっかり会いたいなんて言ったらすぐに来てくれる。
大事にされてるって思うのに物足りなさを感じるなんてオレって自分で思うよりずっと贅沢だったんだな。

「珍しいじゃん、お前が会いに来るなんて」
「こんな時間にすみません」
「別に、すげー嬉しい」

そう言って抱き締められて、オレは胸がぎゅっとなった。
背中に腕を回して胸に顔を埋める。
規則正しい、だけど少しだけ速い鼓動にホッとする。
温もりを堪能していると顎をすくわれ口づけられた。
自然と啓介さんの体を強く抱き寄せていた。

「ん…は、ぁ」

頬や耳にもキスされてくすぐったさに少し笑った。
腰を抱く手に力がこもり、啓介さんのまとう空気が少しだけ変わった。

「藤原、部屋行こ」

耳元で囁かれてぶるりと体が震える。
見上げると熱を孕んだ目が射抜くようにオレを見ている。

「あ…」
「おまえが会いに来てくれて嬉しいのにさ、でもキスだけじゃ足りねーんだ」

欲張りかな。
そう言って笑う啓介さんにめちゃめちゃ煽られる。
同じ気持ちだってどうしたら伝わるんだろう。
オレは自分から身を寄せて啓介さんにキスをした。

2016-05-23

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