夢じゃない
「お、すげー。ダブル表彰台だってよ」
「オレ、実はこの二人けっこう好きで応援してたから嬉しいです」
「ふーん」
「いいなぁ」
「表彰台がか?」
「はい。ずっと追いかけられるライバルがいるってことも」
啓介を見て目を細める姿に、今しがた浮かんだ嫉妬心はすぐに消えた。
顎をすくって音のないキスをする。
「オレらも上がるぞ、絶対」
「…、そのときはオレが真ん中です」
挑戦的な目に、くっと喉を鳴らした。
ベッドに座る拓海の隣へ滑り込み、横になった。
「そこは絶対譲らねぇ」
「オレだって負けません」
恋人にしか見せない姿でくつろぎながら、拓海は唇を尖らせている。
隣を見上げる啓介に気づきつつもシカトを決め込むつもりらしい。
「ナマイキ」
「あっ!」
片手で腰を抱き、もう片方の手で下着をはぎ取った。
返せと顔を赤くする拓海に深く口づけ、脚の間に指を滑らせる。
「そのうちシャンパンファイトでびしょ濡れにしてやる」
吐息がかかる距離で囁けば、悔し紛れのキスをお見舞いされた。
2016-08-08
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